毎年8月下旬頃、渡嘉敷島の田んぼで「どろんピック」という名の運動会が開かれます。
子供たちの健康と体力の向上を目指して村教育委員会が主催している行事。
だけど、どろんピックはそんなに堅苦しい行事じゃない。(^^)
田んぼで泥だらけになって体を動かすことが理屈抜きで楽しい、わいわい、きゃーきゃー、歓声が絶え間ない田んぼの「運動会」なのです。
どろんピック
| ■開催時期 |
8月下旬 |
| ■開催場所 |
字渡嘉敷、村道沿いの田んぼ |
| ■主催 |
渡嘉敷村教育委員会 |
| ■参加者 |
幼稚園児〜大人まで、とびこみの参加、たぶんOKです。 |
| ■競技種目 |
親子そり、宝探し、走り競争、2人三脚、つなひき、リレーなどなど。 |
なんとも気持ちいい不思議な感覚。
参加者は幼稚園児から大人まで、幅広い年代。
はじめは水を張った田んぼの中に足を踏み入れるのをためらっている子供たち。
しかし、一度泥だらけになってしまえば、なんとも気持ちいい不思議な感覚。リレー、二人三脚、つなひきなど、定番の運動会メニュー。
場所を田んぼに変えただけ。
それなのに参加者の表情が断然明るいこのイベント!
今年の夏も、稲の収穫を終えた田んぼに泥だらけになった「うーまっくー」(腕白小僧)の歓声が響き渡るに違いありません。
観光で訪れたあなたを、「うーまっくー」の昔に戻してくれる泥だらけの運動会、参加してみるのも悪くはないと思います。
田んぼでそり!?「親子ソリ」って何?
生ぬるい泥水に足を踏み入れた。なんか変な感触。
これから田んぼのなかをそりに乗せた息子を引っ張って競走すると思うと、少し緊張する。
いざ、スタート地点。レースは5組の親子。わが子がうしろでそりに乗っている。スタートの合図。泥の中を走りだす。
足をとられて思うように走れない。泥が飛び散って体どころか、顔にまでかかってくる。全身泥だらけになりそう(><)。
「おかあさん!はやくっ」後ろで叫ぶ息子の声。となりの新垣さん親子は先を走っている。
負けられない。えいっ、もうよごれてもいいや!ためらいを捨てて全力で走り出す。バチャバチャッ。パイロンの折り返し地点をまわった。
ゴールをめざして一直線。新垣さん親子にもうちょっとで追いつく。足が取られる。重い。もうちょっと。
ついにゴール!!勢い余ってつんのめる。全身泥まみれ。思わず意地が出てしまった。苦笑い。振り返るとそりに乗った息子が泥だらけで笑っている。
ああ、なんともかっこわるい!でも、久しぶりに真剣になっちゃった。
泥だらけのまま息子を抱きしめる。ああ楽しかった!!!見物のお母さんたちの拍手がなんだかとてもうれしい。ただ泥の中で競走しただけなのに、なんか不思議な気持ち。
泥だらけの顔、水中眼鏡の奥で、息子の目が笑っていた。
田んぼの「宝探し」で見つけたものは?
ピーーッ、開始の合図と一緒にみんな一斉に田んぼに入った。
バチャバチャバチャッ。
わたしも負けじと泥の中にふみこんだ。わたしのとなりは近所のこーたろー。真剣な顔で泥の中に手をつっこんで探している。係りの人の話だと、泥の中になにやら「宝物」が隠してあるらしい。
わたしとおんなじ幼稚園のヒビキィや、小学校のニーニー(おにいさん)たち、保育所のコータロー、みんな顔中泥だらけ。わたしもきっとそうなんだ。あっ、なんか足にさわった!!なんだろう!?急いでとりあげてみる。
泥だらけのビニール袋。開けてみた。・・・・・・・・・・なーんだ、タオルか・・・。すぐそばで、こうたろうが「いええーーい、やったーーっ」って叫んでる。お菓子を見つけたらしい。いいなあ・・・わたしもお菓子が欲しかったのに。昨年はとなりのおじさんが、泡盛の小瓶をゲットしたって言ってた。
お酒なんか「宝物」にしないで、もっとたくさんお菓子を隠してくれたらいいのに。
もーーっ。まあ、来年がんばろっと。
台風のおとしもの!?どろんピック
どろんピックというイベント、始まってまだ6回目と歴史は浅い。
そもそも渡嘉敷島に田んぼがあって稲が育てられていること自体、あまり知られていないかもしれません。
渡嘉敷島は沖縄県内では珍しく、山に囲まれ、湧き水が豊富な島。その豊富な湧き水が渡嘉敷島の稲作りを支えています。
戦後30年間ほどは、平らな土地は全て田んぼとして利用されていました。稲を年2回きっちり育て、野菜は傾斜の急な山の中の段々畑に植える。それほど、自給穀物として、米が重要だったわけです。
40代以上の島人は皆、機械化されていない手作業の田んぼ仕事の思い出を持っています。「とっても難儀だった」って。
今では、田んぼの作業はほとんどすべて機械化され、20名ほどの農家による自給のための稲作りが年2回行われています。台風の通過コースに当る渡嘉敷島では、7月〜10月にかけて栽培される2期作目の収量が5割程度にとどまることも珍しくありません。
1期作の田んぼの利用率は100%、でも、2期作は台風を恐れて休む農家も多いんです。
「空いた田んぼで何かできないか?」昔、ぼやきながら親の稲作りを手伝った覚えがある40代の役場職員の発案が、農家の協力を得て、どろんピックとして実現しました。
どろんピックを通して、渡嘉敷島の稲作りが次の世代へと引き継がれていくことを島人は望んでいます。
 この記事の案内人は 【 畑歩人 久野 】
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